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前回お話しました米とならんで、水は酒の原材料の80%を占めるもう一つの柱です。今回は水についてお届けします。 |
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水のはなし
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| 水の特徴を表す代表的なものさしとして、「硬度」というものがあります。これは、水の中に含まれるカルシウムとマグネシウムの量で決まります。硬度の低い水を軟水、高い水を硬水と呼びます。酒造りの仕込み水として有名な、灘の「宮水」は硬水、伏見の「御香水」は軟水です。硬水の方が、酵母の栄養分となるミネラルが多いことから、醗酵も容易で、酒造りに向いているといわれてきました。一方、軟水で長期低温醗酵によってつくられる酒は、雑味も少なくきれいな酒になるといわれています。 |
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| (左)地獄谷温泉 (右)中央の白い部分の上に黒く見えるのが仏岩。地獄谷は白い部分の下。 |
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縁喜の仕込み水は、「猿の入る温泉」として有名な地獄谷温泉の上、仏岩を源泉とする水で、軟水の中でも硬度の低い部類にはいります。約5万年前志賀山の噴火によって流れ出した溶岩が、古くからの台地の上に積み重なり、現在の志賀高原台地が形成されました。
これらの溶岩層に長年かけて浸透した水が、噴火の際に外気に触れずに固まった硬い層(深成岩といわれます)に阻まれ、わき出したのがこの湧水です。(ちなみに、びわ池、一沼は、この噴火のときの火口に水がたまったもので、この水は、川として流れ降りるわけではなく、溶岩層にしみ込んでいきます。水無池も、こうした噴火の名残です。) |
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湧きでたところが源泉であり、その分汚染も心配することなく、おいしい水が飲めるというのは、非常にありがたいことです。玉村本店には、他に井戸水もありますが、これは志賀山噴火以前の台地の水であるためか、硬度は高く、実際この水で仕込んだ酒は辛口になるともいわれてきており、現在は仕込み水としては使っていません。
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軟水はのどごしがよく甘みを感じるということで飲んでおいしいばかりでなく、お茶やコーヒ等にも最適ともいわれます。また、だしをとったり、ご飯を炊いたり、野菜を煮たりといった日本食全般にも軟水が適しています。
日本酒にとっては、前述のとおり、決して扱いが簡単なわけではありませんが、その分米の良さを生かしていい酒を造るには最適ではないかと考えております。もろみをしぼったばかりの酒は、濾過を経て市場に出るのですが、多くの場合、この濾過だけでは酒の澱(おり)による濁りがとれないために、ゼラチン等をつかって澱下げといわれる処理をするのですが、縁喜ではこの行程は(必要がないため)しておりません。これも、水の良さ故ではないかと考えています。
良質な水、寒冷な気候といった、恵まれた環境にしっかり応えて、よりいい酒を常に目指してがんばって参りますので、今後も宜しくお願いします。
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左の画像は昭和初期の蔵元(中央右の煙突の建物)と志賀高原。
佐藤武造 画 |
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